Session9【ミックスボイスとウィスパーボイス】

目次

1:ミックスボイス

ミックスボイスは我々ボイストレーナーが、生徒の側から「どうすれば出せるようになりますか?!」と最も質問を受ける『歌唱方法』です。
『歌唱方法』と記しましたが、ミックスボイスは『発声方法』ではなく『歌唱方法』という定義付けになります。
理由としてはSession8で各声区を説明させて頂きましたが、あの中にミックスボイスは分類出来ないからです。
声区の話はボイストレーニング業界の一般論として書きましたが、ミックスボイスの定義は歌唱方法という程度で曖昧なものなのです。
また主に男性しか使わない歌唱方法という点も、ミックスボイスの特徴です。

このミックスボイスで歌っている歌手は、たくさんいらっしゃいます。
例えばEXILE ATSUSHIさんや平井堅さんが、とてもイメージし易い所です。
実際にどうやってミックスボイスが発声出来るようになるのかを、以下に記載します。

-手順-

1. C4ぐらいの音で「A(ア)」のロングトーンを、正しい発声方法でまず行う。
2. 次に腹式呼吸ではなく胸式呼吸を、3割程度混ぜる感覚で声を息っぽくする。
3. C4で上記が出来るようになったら、表声の限界音で1と2の手順を実行。
4. 上記3が出来るようになると、表声からファルセットに移行する際も喚声点(声の切り替わる音のライン)が分からないような、ミックスボイスの歌唱方法が徐々に身に付きます。

つまりEXILE ATSUSHIさんや平井堅さんのような、歌唱法に近い喉を作り上げることが出来るようになるということです。

2:ウィスパーボイス

ウィスパーボイスを日本語に直訳すると『ささやくような声』です。

ミックスボイスも捉えようによってはささやいているような声に取れますが、ウィスパーボイスは低い音域、例えば楽曲でいう所の、Aメロなどの盛り上がりの少ない部分で使われることが多いです。

役者さんでも渡部篤郎さんのように、ウィスパーボイスを特徴としてキャラを立ててお仕事をされている方もいらっしゃいます。
音楽では玉置浩二さんは声に輪郭も抜けもありますが、ささやくように歌う部分もあると考えるとウィスパーボイスで歌っている箇所もあります。
ウィスパーボイスもミックスボイス同様に、歌唱方法の一種ということになります。

ウィスパーボイスは主に低い音域で使用しますが、稀にAimerさんのように高い声でもウィスパーボイスを使用するアーティストが存在します。
男性でも女性でも使用し、比較的表現力の豊かな歌手が使用している傾向が強いです。

腹式呼吸という大土台をマスターした上で、息を多量に使う胸式呼吸を高め、発声時に混ぜて行く歌唱方法がウィスパーボイスです。
ささやくように低い音域を歌えば、ウィスパーボイスの歌唱方法は低い音域では完成であり、また息を多く使って胸で共鳴させて発声できれば、高い音域でも使用することも理論的には可能です(※ただし、高い音域でのウィスパーボイスは特異な体質と修練が必須)。

ウィスパーボイスって何だろう?ミックスボイスって何だろう?
声域区分で習った〇〇ボイスとは違うものなのか?またどう違うのか?
そのような点を、生徒側とボイストレーナー側で認識の相違を無くし、正しく理解した上でボイストレーニングに臨むことで、レッスンはスムーズに進められるはずです。

3:ミックスボイスとウィスパーボイスの違い

ミックスボイスは喚声点が曖昧な歌唱方法です。
ウィスパーボイスは低い音も高い音も、ささやくような息っぽい歌唱方法。
これが2つの大きな違いです。

歌唱方法の解釈が鮮明に異なるのです。

どちらも腹式呼吸と胸式呼吸を十分に理解しないと、歌唱方法として成立しません。
似ているようで異なるものがミックスボイスとウィスパーボイスですが、ボーカリストが歌う心構えとして、この2つが全く異なるものであることは十分に理解し、臨む必要があります。

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