日本ボイストレーナー連盟の鈴木智大です。
勉強会にて下記のご質問を頂きましたので、回答をさせて頂きます。
【質問】一向に高い声が出るようになりません。
高い声が出るように日々練習してるのですが、一向に高い声が出るようになりません。
僕は歌が大好きで、好きなアーティストさんの曲で日々歌を磨いています。
色んなボイトレ本を見たりやってみたり工夫したりしてますが、原曲キーで歌えるようになりません。
(自己流ですが歌の練習自体は1年くらい続けてます。)
どうすれば歌えるようになるのでしょうか?
【回答】高音域を出すためのボイトレについて
早速回答させていただきます。
プロのシンガーさんでも高音域が出ない方はたくさんいらっしゃいます。
例えば人の曲をカバーする場合、原キーが出る出ないということよりも、自分のキーに合ったキーに設定して歌います。
ご質問者様にとってその曲の原キーがご自身のキーと合っていないのかもしれませんし、やり方を変える、もしくはボイストレーニングの方法次第で出るようにかもしれません。
その
“やり方”
“ボイストレーニングの方法”
についてお伝えしていきたいと思います。
高い声を出せるようにするにはとても根気がいります。
根本の基礎をしっかり固めて地道にボイトレを行うことが必要不可欠なのです。
正しい発声方法で、正しいボイストレーニングの過程をふめば誰でも音域は伸びていきます。
もちろんこれらをやれば今すぐに音域が伸びる!ということは難しいですが、基礎をしっかり固めて正しくボイストレーニングを行えば、個人差はあるものの誰でも音域を広げることが出来ます。
裏を返せば、間違った発声方法で、間違ったトレーニング方法で行えば音域が伸びるどころか、喉を痛めて今まで出ていた声が出なくなることさえありますので要注意です。
発声トレーニングの前に
基礎がしっかり出来ていることを確認して下さい。
・姿勢
・脱力
・腹式呼吸
・共鳴
・母音の発声
まずはこれらを正しく行えるようにしましょう。
そして自分の音域を把握しましょう。
・表声でどこからどこまで出せるのか。
・裏声でどこからどこまで出せるのか。
例えば、
・表声はG2〜B♭4、
・裏声はF4〜G5
といった感じです。
鍵盤かギターなどの楽器で音を確認しながら行いましょう。
発声トレーニング
中低音域を発声するボイストレーニングから行います。
中低音域がキレイに発声できないと高音域も崩れやすいのです。
中低音域の発声ができたら高音域も発声していきます。
高音域と言っても発声方法がガラリと変わるわけではありませんので、基礎は変えずに行いましょう。
歌唱トレーニング
歌唱でボイストレーニングする場合、
確認した音域に合わせて練習しましょう。
例えば表声で出せるトップの音がA4に対して、
歌いたい曲の原キーのトップの音がB4の場合、1音下げます。
(カラオケで言うと-2に設定して練習して下さい。)
1音下げで歌えるようになったら今度は半音下げでトライしましょう。
(カラオケで言うと-1です。)
たった半音といっても限界を超えるのは喉への負担もありますので無理せず行いましょう。
疲労を感じたらすぐに休んで下さい。
一朝一夕では行きませんが、
行える範囲で練習を積み重ねることで音域を伸ばすことが可能です。
※呼吸・共鳴・音域のお話をしましたが、若干専門的で、且つ文章だと伝わりづらい部分もあるかと存じます。
実際の内容やトレーニングに関して、間違った方法をとらないようにボイストレーナーを付けてトレーニングすることをおすすめします。
当連盟ではボイストレーナーの紹介制度も設けておりますのでお気軽にご相談ください。
また、今回頂いたような質疑応答も、毎月行うJAVCERT勉強会で行っております。
声のスキルアップを目指す方は、是非ご参加頂き、正しいボイストレーニングの知識を身につけて頂ければと思います。
一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
ボイストレーナー/鈴木 智大