一般社団法人日本ボイストレーナー連盟です。
当連盟では、ボイストレーナーを目指される方に向けた資格認定試験を実施しています。
今回はボイストレーナーになる方法、ボイストレーナーを目指している方に向けて、
- ボイストレーナーとは?
- ボイストレーナーの仕事内容
- ボイストレーナーの働き方
- ボイストレーナーのなり方
- ボイストレーナーに必要な5つの要素
- ボイストレーナーの為の資格認定試験
- 教える相手(生徒)の属性
- ボイストレーナーの収入
- ボイストレーナーとしての適正
こういったお話をメインに進めていきますので、ボイストレーナーを目指している方は是非参考にしてみて下さい。
ボイストレーナーのなり方
ボイストレーナーになる、という事であれば「自分はボイストレーナーである」と名乗れば、その時点でボイストレーナーである、と言えます。
ですが…
歌は基本的には誰でも歌う事ができますし、音楽理論を理解していなくても作曲ができます。
音楽自体は誰でも気軽に触れ、楽しむ事が可能ですし、それが音楽の良いところですが、ボイストレーナーという職業自体も簡単に名乗ればOKというわけではありません。
音楽理論も理解し、実力が知識が伴わずに「自分はボイストレーナーである」と名乗るだけでは、あらゆる生徒を指導し牽引するのは当然難しいと言えます。
ボイストレーナーとしての土台がしっかりしていなければ、生徒も習う上で「この人で習っても全然うまくなる気がしない、希望が見えない」となってしまう事でしょう。
「私はボイストレーナーです」と名乗るのは誰でもできますが、ボイストレーナーとして生徒に指導し、具体的に悩みの解決や成長のサポートができなければ本当の意味でのボイストレーナーとは言えません。
簡単に名乗れても、実際ボイストレーナーは経験と知識を併せ持った職人なのです。
ボイストレーナーとは?
ボイストレーナーとは、歌や日常会話における発声の悩みの解決や、目標に向けて的確なアドバイスやレッスンを提供して生徒(お客さん)を牽引していく存在です。
「歌や日常会話」と書きましたが、発声といっても色々あり、細かく分類すると歌手の他にもナレーション、声優、政治家など声を生業とする職業は実はたくさんあります。
歌であれば、
- 高い声を出せるようになりたい
- 腹式呼吸で発声できるようになりたい
- ビブラートができるようになりたい
- すぐに喉が痛くなるので改善したい
- 音痴を改善したい
こういった悩みの改善や目標に向け、レッスンを通じて的確に導いていきます。
日常会話であれば、
- 話をしていてすぐに喉が疲れてしまう
- 相手からよく聞き返される
- 声がしょっちゅう裏返ってしまう
- 息切れしやすい
- 好印象を持ってもらうような話し方をしたい
このような方々に対して的確に指導し悩みの解決などを行います。
ボイストレーナーに必要な5つの要素
では、実際にボイストレーナーに必要な能力や知識はどういったものなのか。
当連盟としては下記の5つの要素が重要と考えています。
1:状況対応能力
ボイストレーニングのレッスンにおいて生徒は様々な悩みや目標を持っています。
そういった生徒個々人の悩みや目標に対して、その場で把握した上で的確な判断をしアプローチしていかなければなりません。
状況対応能力は経験を積む事で能力に磨きがかかる部分もありますが、ボイストレーニングを受けたい、という需要の中身を具体的に把握する事も大事ですし、あらゆるシチュエーションを事前に想定・調査しておく必要があります。
2:音楽理論技術の理解度と実践
音楽理論とはドレミファソラシドという音階、音名から始まり、コードやその構造、手法などを理論立てたものです。
世間一般で販売されている楽典を読み必要最低限の知識を身に着けていく事も大事ですし、当連盟でPDFにて無償配布している『ボイストレーニングガイドライン』という教則本を読み込んで頂き、理解を深めていくのも一つの手段です。
また、知識を得るだけではなく実践し、ボイストレーナーとしての能力を上げていく事もとても重要です。
3:発声技術の理解度と実践
生徒の発声能力を高めていく事も大事ですが、ボイストレーナー自身の発声能力が低いと生徒を牽引する上で説得力に欠けてしまいます。
歌がとてもうまい必要はありませんが、例えばですが、そもそもボイストレーナーが発声をすると音がずれている、リズムが合っていないなどは論外と言えます。
もちろん、男性ボイストレーナーがホイッスルボイスを出すというような、身体的に無理がある事までできる必要はありませんが、技術でカバーできる部分はボイストレーナーとしてしっかり実践できるようにしておく必要はあります。
4:指導能力
指導能力は牽引力と考える事もできます。
生徒をしっかりと牽引する、引っ張ってあげる事が大事です。
ボイストレーナーとしての技術や知識が土台としてあり、それらを活用してどのように教えてあげるのか、どのように引っ張ってあげるかが大事です。
5:コミュニケーション能力
ボイストレーナーとしての技術とは別物のように思われるかもしれませんが、コミュニケーション能力もボイストレーナーとして大切です。
接客、営業スキルの側面もあります。
営業というと苦手意識を持たれている方もいるかと思われますが、誰かに押し売りをするわけではありません。
生徒はボイストレーニングの知識が無い方がほとんどですので、自分の悩みや目標を具体的に言葉で表現できない方も少なくありません。
そういったうまく悩みや目標を言語化できない生徒に対して、「●●くんが言いたい事はこういう事かな?」「もしかして声がモワモワするっていうのは、こういう事かな?」といった具合にボイストレーナーとして的確に切り分けて理解し、レッスン内容を組み立てるという能力も必要なのです。
極端ではありますが、教える側が『暗い』『先生は目を見て話してくれない』『ネガティブな事ばかり言う』などではレッスンが成立しません。
実はレッスン中、生徒からボイストレーニング以外での悩み相談も少なくありません。
レッスンは人と人とのやり取りなので、レッスン中の会話ややり取りを通じて円滑に生産性の高いレッスンを行っていかねばなりません。
ボイストレーナーの為の資格認定試験
前述の通り(一社)日本ボイストレーナー連盟ではボイストレーナーの為の資格認定試験を実施しています。
また、資格認定試験に向けて学習が可能なよう『ボイストレーニングガイドライン』という教則本をPDFにて無償配布しています。
※製本版も送料込み700円にて販売しています。
「ボイストレーナーに必要な5つの要素」もそうですが、腹式呼吸、発声練習方法や発生方法、発声のメカニズム、歌における男女の相違などなど、ボイストレーナーとして、もしくはボイストレーニングを学ばれる方に向け必要な事を詰め込んだ内容になっています。
独学でもしっかり学べるように『ボイストレーニングガイドライン動画講習』という動画教材も販売しています。
必要に応じ、資格認定試験、ボイストレーニングガイドライン、動画講習をお役立て下さい。
ボイストレーナーの仕事内容
ボイストレーナーの仕事内容は、一言で言えば生徒の発声能力の向上です。
ある程度長期間継続している生徒に対しては、プラスアルファで発声能力の維持やケア、歌においてのボーカルトレーニングなども加わってきます。
教える相手(生徒)の属性
よくあるのは個人の生徒やグループレッスン、芸能事務所あその養成所でのタレント育成のお仕事です。
その他にも舞台役者さんへのボイストレーニング、法人研修や官公庁や自治体からの依頼、稀にメディアからのお仕事など、様々なクライアントが存在しています。
個人の生徒ですと、歌か会話、この2種類に大別されます。
歌のボイストレーニング生徒について
ポップスを習われたい方が多い傾向にあります。
ポップスはJ-POP、K-POPやアメリカ、イギリスなどのポップスですが、一番多いのはJ-POPです。
その中でも下記のような悩みや目標を持たれている方が多い傾向にあります。
- ミックスボイスを出したい
- 音域を広げたい
- 高音を出せるようになりたい
- 音痴を治したい
- カラオケがうまくなりたい
- 腹式呼吸ができるようになりたい
会話のボイストレーニング生徒について
会話におけるボイストレーニングでは、下記のような方が多い傾向にあります。
- 毎回会話で聞き返される
- 喉がすぐに疲れる
- 自分の声に自身が無い
- 説得力のある声質になりたい
いずれにしろ、個々人の生徒の要望をしっかりヒアリングした上で的確にレッスンを進行し、導いてあげる事が大切です。
ボイストレーナーの働き方
アルバイト、社員、個人事業、この3つになります。
※ボイストレーナーとしてのお話ですので、今回会社経営者については記載しません。
アルバイトについて
ボイストレーニングスクールにアルバイト・パートとして勤務します。
時給制である事が多く、レッスンを行う以外にも事務作業を行う事もあり、レッスン時間以外の事務作業を行っている時間でも給与が発生するケースが多いようです。
ボイストレーナーとして経験を積む上で最初の選択肢としてよく選ばれる就業形態です。
社員について
社員としてボイストレーニングスクールに入社するパターンです。
社員ですので月額固定給のケースがほとんどですし、当然ながら事務作業やその他の作業も多く含まれるケースが多いようです。
アルバイト入社から社員へ昇格するケースもあるでしょう。
個人業について
個人事業主のボイストレーナーも少なくありません。
実はボイストレーニングスクールで働いているが、アルバイトではなく個人事業主である、といったケースも多々あります。
自身でホームページなどを構え、集客宣伝をしたり、芸能事務所の養成所などでタレントに向けてレッスンを行ったり。
個人事業ですので依頼や仕事を自由に選択ができますが、その分自身で営業活動や集客活動を行う必要があります。
ボイストレーナーの収入
これは人それぞれと言えます。
個人事業で生徒を1人しか持たれていないなどであれば、月収数万円~となりますし、生徒をたくさん持たれているのであれば月収40~50万円の方もいらっしゃると思います。
働き方にもよりますし、一概に言えるものではありませんが、やり方次第ではしっかりと稼いで生計を立てる事も当然可能な職業と言えます。
ボイストレーナーとしての適正
ボイストレーナーとして、どのような人が向いているのでしょうか。
- ボイストレーナーになりたい
- ボイストレーナーを仕事にしようと思っている
- ボーカルをやっていた経験がある
- 歌が好き
- 人に教えるのが好き
- 人に喜ばれるのが好き、嬉しい
- 人が成長していくのが好き、嬉しい
- 明るい性格
- 人とのコミュニケーションが好き
- ボイストレーニングを習っていた
- 音楽が好き
- 後進育成に務めたい
など、これらに当てはまる方は、是非それを強みの軸としてボイストレーナーを目指し、学び、経験を積んで頂ければと思います。
まとめ
最後までお読み頂きありがとうございました。
段階的にステップを踏んでいく上で、ご興味がある方は、当連盟が無償で配布しているボイストレーニングガイドラインから学習を進めて頂けると段階的に進めやすいと思います。