ファルセット
ファルセットとは「裏声」とも言われます。
かなり高い音域の「声区」(声域区分の略)、いわゆるヘッドボイス(Session8参照)です。
ジャンルによっては、割と力の弱い声区とされていますが、ロックを歌う場合に力が弱くては話になりません(例:メタル系)。
ですからファルセットでも、力強いパワーのある声の出し方も場合によっては必要だと考えます。
声量に関係なく、ファルセットはどうやって出せばいいのでしょうか。
以下は、その方法について解説していきます。
1. まず、口を「A(ア)」の形にして下さい。
2. 全身の力を抜いて下さい。
特に肩から上の力を抜いて下さい。
顎に力を入れたり、口の中に力を入れないようにして下さい。
3. 上記の状態で、いわゆる裏声を出してみて下さい。
この時、どこかに力が入っていてはNGです(特に舌が上がらないように)。
力の抜き具合がファルセットを安定して出すコツになります。
喉に力が入ったり閉まっていては、絶対にか細い音しか出ません(もしくは全く出ません)。
4. 横隔膜を一気に腹式で押し上げて下さい。
高音なので、パンチのある空気の押し上げが必要です。
輪郭のある空気の状態は、パンチがありファルセットにも芯が出ます。
ファルセットを発声する前に、もう一度確認して下さい。
全身(肩、顎周り、お腹周り)が力んでいないかどうか。
声を出す前から力んでいるケースがほとんどで、そのような状態ではファルセットでの「音のアタック感」は出せません。
ファルセットに関しては、個人差はありますが「U(ウ)」か「E(エ)」の音が一番出しやすいです。
ただ、「U(ウ)」「E(エ)」ですと口の中の形(舌の状態)が分りにくいので、「A(ア)」を例に説明してみました。
何度も言いますが、とにかくファルセットは、いかに力が抜けるかが重要です。
力が抜けている状態で喉がしっかり開いていれば、上咽頭で共鳴が起こります。
息のバランスも必要です。
高音になればなるほど上咽頭での共鳴は必要になりますので、ファルセットはヘッドボイスの代表格と言えます。
ハミングで練習してみるのも手です。
ファルセットを出しながら、ハミングを行って『唇の振動』と『鼻息の量』を調節してみてはどうでしょうか。
ファルセットは難易度が高い、まさに「高等歌唱技術」です。