こんにちは。
日本ボイストレーナー連盟 運営委員長の鈴木智大と申します。
今回はJPOPの名曲、尾崎豊さんのI LOVE YOUの歌について解説させていただきたいと思います。
尾崎豊さんの「I LOVE YOU」と言えば、言わずもがな、たくさんのアーティストさんがカバーをし、没後何十年と経った今でも人々に歌い続けられている名曲中の名曲です。
そんな尾崎豊さんの歌い方はとても特徴的。
I LOVE YOUについて彼の歌を分析していきたいと思います。
強弱を滑らかにつける
尾崎豊さんの声質自体とても力強くクリアな声で、高音も同じ調子で歌われています。
その中でも強弱をしっかりつけているのですがそれが明確にも関わらずとても滑らか。
I LOVE YOUの歌い始めの「I LOVE YOU 今だけは悲しい歌」の部分を聴いてみると、「I LOVE YOU」までは優しく、「今だけは」については「だ」に向かってボリュームを大きく、声も強くなっているのが分かります。そして「けは悲しい歌」の部分でだんだん優しくボリュームも落として歌い上げています。
このフレーズ全体を聴いてみてもカクカクせずに滑らかに繋がっているのがお分かりいただけますでしょうか。
特にバラードですので言葉を繋げる中で強弱を付け雰囲気を構築しています。
響く声、通る声にフォーカスした発声
尾崎豊さんは力強くクリアな声、と前述させていただきましたが、正確に言うとそれは声質のみならず、その発声方法にもカギがあります。
所謂「通る声」とか「響く声」と言われるものです。皆さんの周りでも話し声自体とても通って太く大きな声の方を見かけませんか?
これは声を効率よく響かせているためです。そもそも声は「声帯」と「空間」と「骨」を使って発せられます。
声帯で作られた声を鼻や口の空間、骨の振動などによって響いて声として表に出すことが出来るのです。この空間を最大限に生かすことが出来ると、所謂通る声、響く声を生み出すことが出来ます。
これは声質関係なく可能です。(※もちろん骨格や鼻の空間の大きさなどは個人差があるため響き度合いも多少違いが出ます。)
尾崎豊さんの場合、低い声も高い声も常に通る声、響く声を使っています。もちろん他の歌手の方もこれは基本として行っているのですが、尾崎豊さんの場合は特に太い通る声が常にキープされていますので、これから発声を学んでいく方や高音での正しい発声を目指す方にとってはとても参考になる歌い手さんの1人だと思います。
是非この機会に尾崎豊さんの発声や強弱のつけ方、参考にしてみて下さい!
一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
運営委員長 / 鈴木 智大