日本ボイストレーナー連盟 運営委員長の鈴木智大と申します。
今回はクリープハイプのボーカル、尾崎世界観さんの歌い方について触れていきたいと思います。
ボーカルのタイプを分析
尾崎世界観さんの歌声を聴いて皆さんはどのような印象がありますか?
私は『静』と『強』を上手く使い分けている珍しいボーカリストだと思います。
声質は優しくミックスボイスやウィスパーボイスを使いこなしている為、静かに歌うところでは柔らかい雰囲気が出せています。
このタイプのボーカルは最近非常に多い。
しかし、このタイプのボーカルはたいていが高音域も同じような音色で発声することが多いのですが尾崎世界観さんの場合は少し違います。
高音域においては強めのミックスボイスを活用して力強さを表現しています。
地声の力強さとミックスボイスの力強さ、高音域は声は細いですが刺さるような強さに驚かされます。
これこそが尾崎世界観さんの魅力であり大きな特徴だと感じます。
尾崎世界観さんの中低音域の出し方
尾崎世界観さんの中低音域は完全なる脱力。
声量を意識して発声するというよりも、息を流す感じで声を鼻や口の空間に響かせるように意識して発声します。
すると感覚的に「通る声」を頑張らずに出すことが出来るのです。
感覚を掴むのは少々慣れも必要ですが、だれでも必ず出来ます。
出来ない方はまずハミングをマスターしましょう。
鼻歌のように鼻に声を響かせる練習です。
これが出来なければ響く声は作れません。
鼻が詰まっている方は通りを良くしてから練習に取り掛かって下さい。
鼻詰まりがある場合、声を響かせることはほとんど出来ませんのでご注意を。
尾崎世界観さんの高音域の出し方
尾崎世界観さんの高音はどのように出しているか。実は色んな発声法を駆使して歌っております。
ミックスボイス、裏声、地声、シャウトetc…
まず尾崎世界観さんの音域は、上がとても高いです。この時点で低い声の方は尾崎さんの発声の感覚やイメージもしにくいと思います。イメージしやすいとすれば裏声ですね。
この裏声とミックスボイスもそうなのですが、とにかく細く力強いです。言うなれば水道のホースの蛇口をつまんで水の勢いを強くする感じに似ています。
頭の上に声が抜けるようなイメージで発声すると裏声は強く出せますがミックスボイスは柔らかくなりやすいです。
そのため尾崎世界観さんは声を頭の上ではなく強く前に出るイメージで発声しています。
これは地声も裏声もミックスボイスもシャウトも全て同じです。
そしてなるべく喉の力に頼らずに声量も活かして発声しています。
ここで声量を抑えてしまうとほぼ100%喉を力んでしまいますので注意して下さい。
高音は声帯を筋トレのように鍛えなければなりませんので、もともと声が低い方は時間を掛けて音域を広げていかなければなりません。
また、高音は気持ちの問題も関わってきます。音域や発声技術は持ち合わせていたとしても気持ち負けしてしまうとやはり出せないのです。
声と心は一体ですので気持ちと体調を整えた上で高音にチャレンジするようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
声の出し方には色んな方法がありますし、技術も難しいため、もし悩まれたら間違った発声で練習してしまう前に是非お気軽にご相談下さいませ。
ボイストレーニングの勉強会も定期的に開催しております。是非ご参加ください。
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一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
運営委員長 / 鈴木 智大