こんにちは。
日本ボイストレーナー連盟 ボイストレーナーの鈴木智大です。
今回は、T.M.Revolutionこと西川貴教さんについてお話させて頂きます。
西川貴教さんは、日本の男性ボーカリストの中でも
ハイトーンボーカリストに位置づけられます。
そして高音かつパワフルな歌の中でも
抜群に音程が安定しています。
高音の発声について
西川貴教さんは、ご自身の曲のトップの音を、ほとんど表声で出しています。
実際に表声のトップは“D5”のようですが、
当然それが続くような曲は大変だと思いますし、きついと思います。
そのため、彼の曲のほとんどは、トップキーは“B”です。
“A”以上のキーを出そうと思うと、多くの人はトレーニングによって習得しなければ出ません。
西川貴教さん自身も、トレーニングの中で培われたものというのが大きいと思います。
そして、意外に思われるかと思いますが“背の高さ”もキーと少し関係があります。
皆さん、赤ちゃんの時はしっかり大きな声で泣きますよね?
「お腹がすいた」とか「暑い」とか「寒い」等の感情を母親に伝えなければならないからです。
横隔膜と声帯の距離が近いが為に、効率良い発声が出来ていると言われています。
(赤ちゃんの場合は、2足歩行している時と違い、横隔膜に重力の不可がかからないため、
発声において妨害する圧がかからないという理由もあります)
背の低い人にハイトーンボーカリストが多いのはこのためです。
あくまでもそういう方が多い傾向にあります、というだけで、
背の低い高いに関わらず、トレーニングによって声のキーは上げられます。
無理の無いキーの範囲で、正しい発声、正しい呼吸法でのボイストレーニングを重ねることで
高音を出せるようになります。
音程について
西川貴教さんの実際の歌声を聴くと気づく方も多いと思いますが、
圧倒的な声の安定感があります。
もちろんプロレベルの方は皆さん音程は良いですが、
西川貴教さんはとりわけ音程のズレがありません。
しかも元々高音の曲が多いですが、長時間歌い続けても声の調子が何も変わりません。
ツアー等の前は特にトレーニングされるそうですが、
肉体的な体力と、発声部分のトレーニングを両立させ、
長時間のコンサートでも耐えうる状態にしているからに他なりません。
声の安定感はボーカリストにとってとても大事な部分になります。
ロンブブレス、ロングトーンはもちろん
高音の発声や長いフレーズの歌も余裕感を持って歌えるはずです。
一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
ボイストレーナー/鈴木 智大