2013年12月度 JAVCERT 過去問題

目次

問1(発声基礎/4点)

腹式呼吸の際に下腹部が前に出る(「お腹が前に出る」)状態になるのは次
のうち、どの理由によるものか。適当だと思われる解答の番号を一つ選ん
で解答用紙にその番号を書け。

1.腹部を主に使った呼吸であることから、下腹部に大量の吸気が
  取り込まれるため。
2.下腹部に力を入れることによって、腹直筋が作用し、筋肉が
  外側に盛り上がるため。
3.横隔膜が押し下げられることによって、横隔膜の下部にあった
  臓器が押し出されるため。
4.胸郭を下に向かって強く拡げるために、横隔膜が前面に張り出すため。

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ANS. 3

問2(発声基礎/4点)

こんにちは。連盟スタッフです。
2013年12月に行われた認定試験の過去問題の2問目となります。
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歌唱において用いられる腹式呼吸の特徴として適当なものは次のうちどれか。一つ選べ。

1.胸部は使わずに、腹部のみを使って呼吸を行うべきである。
2.吸気の際に横隔膜を下に下げ、呼気とともに一気に元の位置に戻す。
3.横隔膜を下げた状態で維持するためには、周辺筋肉との連携が必要である。
4.横隔膜を吸気と呼気に連動させて、上げたり下げたりするのが望ましい。

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ANS. 3

問3(発声基礎/4点)

q3


解答欄に書かれた身体図において、平常時の横隔膜の位置および状態を正確に書き記せ。その際、説明するための言葉を補足的に書き添えても構わない。

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ANS. 

・上部が膨らんだドーム型になっている
・肋骨の内側まで横隔膜が入り込んでいる

問4(発声基礎/4点)

呼吸において重要な役割を担う胸郭とは具体的にどの部分を指すか。胸郭を構成する部分として適切でないものを次から一つ選べ。

1. 胸椎
2. 肋骨
3. 腰椎
4. 横隔膜
5. 肺

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ANS. 3

問5(身体コントロール/4点)

脊柱は身体の体重を支え、その重みを足下(座っている姿勢では坐骨)へ伝えるために重要な部分である。脊柱がどのような形であるか、脊柱を一本の線に簡略化して、横から見た形を図に示せ。その際、左右のどちら側が背中側にあたるのかを必ず付記すること。

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ANS. 

ポイント
1、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎の4つの部分が全て描かれているか。
2、それぞれの湾曲が描かれているか。
3、仙骨部分が描かれているか。

問6(身体コントロール/4点)

呼吸は胸郭において行われるが、脊柱の部分のうち胸郭と最も結びつきが深いと思われるのはどこか。その名称を書け。

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ANS. 腰椎

問7(身体コントロール/4点)

声帯および声帯周辺の筋肉が過度に緊張しないように歌うためには、頭蓋骨の位置が重要になる。
頭蓋骨を体幹の上の適当な場所にのせ、バランスがとれた状態にするためには、頭蓋骨を前すぎず、後ろすぎない位置に置かねばならない。
その場合、頭蓋骨の底辺の中心はどこにあたるか。適当だと思われるものを次から選べ。

1. 喉頭
2. 環椎
3. 声帯
4. 首

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ANS. 2

問8(共鳴基礎/4点)

共鳴を作り出す器官には声道があるが、声道を動かし、共鳴腔を作り出すよう作用する筋肉および部位には何があるか。
共鳴に関わる筋肉および部位などの名称を4つ挙げよ。

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ANS. 例)口腔、鼻腔、副鼻腔、喉頭、咽頭、喉頭蓋、軟口蓋、舌根などから4つを選択

問9(共鳴基礎/4点)

高音の発声の際、共鳴を伴って開放的な発声を行うには咽喉や口腔内を操作し、呼気の通り道をコントロールする必要がある。その際、積極的に動かすべきではない箇所は次のうちどれか。一つ選べ。

1. 舌根
2. 軟口蓋
3. 喉頭蓋
4. 口蓋垂

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ANS. 3

問10(共鳴基礎/4点)

とりわけ高音を発声する場合の共鳴において、共鳴の方法について指導する際に母音だけではなく子音を伴った言葉を発声し、子音の調音を利用することによって鼻腔への息の流れを促すやり方がある。その際に適していると考えられる子音は次のうちどれか。一つ選べ。

1. s
2. h
3. b
4. n
5. l

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ANS. 4

問11(共鳴基礎/4点)

歌う際には口周辺に余計な力入らないようにすることが理想的である。
しかし、口を開けるために口周辺の筋肉に過剰な力を入れてしまう人も多い。
口を大きく開けようと力み、口および顎周辺に過剰な力が入っている場合、緩めるように指導するべき筋肉として適切でないものは次のうちどれか。
一つ選べ。

1. 側頭筋
2. 頬筋
3. 咬筋
4. 舌骨筋群

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ANS. 4

問12(共鳴基礎/4点)

歌声が奥にこもったように聴こえ、声に透明感がないように感じられる場合、その背景には複数の原因が考えられる。
その原因として不適切であると思われるものは次のうちどれか。
一つ選択せよ。

1. 副鼻腔に呼気が流れて共鳴している。
2. 音の条件に対して呼気の量が多すぎる。
3. 舌根が下がりすぎている。
4. 口腔内共鳴が主になっている。

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ANS. 1

問13(歌唱法/4点)

日本語による歌唱はしばしば母音の調音に難しさがあると言われる。
それは、日本語の母音は五つしかないにも拘らず、歌唱においては音の高さやリズムなど音楽的要素の影響によって母音の音が五つに留まらないように聴こえる点にある。

指導においてこの問題を解消しようとする時、外国語の母音の発音を参考にすることが適当であるとされ、実際に日本語以外の言語の母音を模倣して発声する指導法が試されることがある。では、日本語の歌唱における母音の複雑性を再現できるという観点から指導に適当だと考えられる言語は次のうちどれか。一つ選べ。

1. 英語
2. イタリア語
3. スペイン語
4. ドイツ語

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ANS. 4

問14(歌唱法/4点)

楽曲を歌詞で歌う前段階の歌唱指導として、音を滑らかにつなげてレガートで歌うための呼気コントロールについて指導しようとする時、どのような歌唱法を試すのが効果的であると考えられるか。
適切でないと思われるものを次から一つ選べ。

1. 母音および子音の組み合わせで歌う。各音に子音を付す。
2. 母音のみで歌う。
3. 母音および子音の組み合わせで歌う。フレーズの頭に子音を付す。
4. リップトリルで歌う。

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ANS. 1

問15(歌唱法/4点)

上行する8度跳躍を歌う際、跳躍後の音程が安定せず、開放的な声が出ていない場合、どのような原因が考えられるか。適切でないと思われるものを次から一つ選べ。

1. 呼気のスピードが速すぎる。
2. 呼気の量が多すぎる。
3. 声帯周辺の筋肉に過剰な力が入っている。
4. 口腔内にほとんどの呼気が流れている。

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ANS. 1

問16(歌唱法/4点)

音程が安定しない原因は複数考えられるが、そのうちの一つに移動ドがある。移動ドであると考えられる者が長期間をかけて移動ドを解消しようとする時、どのような指導法が効果的か。適切でないと思われるものを次から一つ選べ。

1. コンコーネ(教本)を用いて、階名歌唱を行う。
2. 新曲視唱のトレーニングを行う。
3. ハ長調に読み替えて歌唱する。
4. コールユーブンゲン(教本)を用いる。

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ANS. 3

問17(歌唱法/4点)

子音の調音において、k の子音を明瞭に発音できない時、発音を明瞭にするためにはどのような発声法が適切か。最も適切であると考えられるものを次から一つ選べ。

1. 声門を強くこするように意識して声を出す。
2. 両唇を強く合わせてから一気に離すようにして声を出す。
3. 舌先で上の前歯の裏側を強めにはじくようにして声を出す。
4. 軟口蓋と舌を強めに密着させて声を出す。

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ANS. 4

問18(歌唱法/4点)

発声指導においては、自分の歌声の良し悪しをいかに判断するべきかという、他の楽器とは異なる人声特有の大きな問題が横たわっている。自分の発した声を客観的に聴くことができない理由として最も適当なものは次のうちどれか。一つ選べ。

1.歌唱中は歌うことに集中しているために客観的な耳を持つことが難しいから。
2.鼓膜で振動を感じてから神経を伝わり、脳へ声が伝わるまでには時間がかかるから。
3.声が直接、内耳へと伝わっており、実際の声とは異なるから。
4.言葉を発音するために、本来の声とは異なる音が体内で共鳴しているから。

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ANS. 3

問19(歌唱法/4点)

楽曲にはしばしば演奏指示を表す音楽用語や記号が用いられている。その一つとして、「ad libitum」という音楽用語があるが、これと同じ意味を持つ音楽用語は次のうちどれか。一つ選べ。

1.a piacere
2.espressivo
3.cantabile
4.mezza voce

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ANS. 1

問20(歌唱法/4点)

歌唱において楽曲の拍子を意識することは、呼気の流れをコントロールする上に非常に重要なことである。8分の6拍子の楽曲を歌う際に意識するべきこととして最も適切なのは次のうちどれか。一つ選べ。

1. 8拍子を意識して歌う。
2. 6拍子を意識して歌う。
3. 4拍子を意識して歌う。
4. 3拍子を意識して歌う。
5. 2拍子を意識して歌う。

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ANS. 5

問題A(10 点)

問いに対する解答を解答欄に記入せよ。文字数は問わない。

ボイストレーニングの指導においては、しばしば歌手以外で、声を使うことを専門とした職業の生徒を指導することがある。例えば、俳優や声優がそれである。彼らを指導する方法には様々なやり方がありうるが、彼らにあえて歌を使った指導を行うとすれば、その指導法にはどのような意義および効果があると考えられるか。
この場合、彼ら(俳優および声優)が歌のオーディションを受ける、あるいはミュージカルに出演するなど歌を必要とする仕事をしているという想定は除く。あくまでも歌以外で声を使う職業のために、歌をどのように活かすことができるかという点から考えて解答せよ。

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ANS. 解答例)

歌唱は発話や語りに比べて吸気と呼気のバランスが最も崩れる状態であるといえることから、絶えず意識的に呼吸のコントロールを行う必要性がある。
そのためには呼気の間、常に横隔膜およびそれを支える諸筋肉を使わねばならない。
そこで、歌唱の訓練を行うことは、歌を直接仕事にしない者にとっても呼気コントロールの訓練として最も効果的な訓練ができるといえる。
発話や語りでは歌唱ほど呼気の際の横隔膜の制御を必要としないが、歌唱における制御方法を身につけることによって、いかなる声を発声する時でも横隔膜およびそれを支える諸筋肉の動きをコントロールすることが容易になると考えられる。

問題B(10 点)

問いに対する解答を解答欄に記入せよ。文字数は問わない。

楽曲の歌唱においては、楽曲の各フレーズあるいは楽曲全体の構成をどのように声で表現するかという問題がある。これについては、作曲者あるいは出版社が楽譜において音楽用語あるいは記号などで表現の指示を記している場合がある。あるいは、歌詞の内容から適切な声色や声の強弱、音の表現などを考えるという方法もある。
しかしながら、上記のような譜面上の指示が全くなく、また歌詞の内容から表現を変化させることも難しい場合、何を根拠に表現を考えるべきか。ここでは、和音の変化(ハーモニーの変化)という観点から、声色、強弱、テンポ、声のニュアンスなど声による表現の変化をいかに作り出すべきかを考え、その方法論を具体的に記述せよ。
例)解決へ向かう前の属七の和音では、声を少し強めにし、解決との変化を示す。また、少しテンポを落として解決への欲求を強めるようにするのもよい。

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ANS. ※例にとる和声によってさまざまな解答がありうる。
解答例)
同じドミナント和音の中でも五度と属七の和音を比較した場合、属七の和音の方が終止感を高めるのがよいと考えられる。中でも、間奏直前の属七の和音や楽曲の最後の終止で現れる属七の和音はとりわけ終止感を高めることが必要であるといえる。そこで、属七の和音に向かって次第にテンポを落とし、属七の和音のところでフェルマータのように音をのばすのがよい。場合によっては音を強めてもよい。音に溜(ため)を作ることによって、次にくるトニックの和音への解決感が高まり、終止であることを聴者に十分に聴かせることができる。

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