ハリウッド式ボイストレーニングについて解説

一般社団法人日本ボイストレーナー連盟です。
今回、ハリウッド式ボイストレーニングとそれとは異なるボイストレーニングの違いとは何かをご質問を受けました。

※当連盟は今回のご質問に関してはハリウッド式ボイストレーニングを評価及び批評する、もしくは肯定批判するなどの立場に同じ業界事業者としてあってはならないので、ある意味やんわりとした回答になってしまいます。ご了承ください。

これは政治で言うところの政党の違い、みたいなものです。
銀行で言えばメガバンクの違いみたいなものです。
つまり平たく見ているだけだったら、全部同じように見えるけど中身をじっくり見てみると結構違うと言うものです。
詳しく説明をしていきたいと思います。

ハリウッド式ボイストレーニングについて解説

なぜハリウッド式ボイストレーニングの違いを教えてくれなかったのか

これはラーメン屋さんの店主に、別のラーメン屋ってどうですか?と話しかけている状況に似ているような印象です。
言ってはいけないことでは無いんですけども、相手によってはもしかしたら気まずい状態になるかもしれません。

例えばボイストレーナーで、山田ボイストレーナーと佐藤ボイストレーナーと言う人が仮にいたとします。
そして腹式呼吸に関するお話が両者からあったとして、

【山田トレーナーの教え方】
腹式呼吸で発声を行う際には、お腹を張っていきむような状態にして発声してください。

【佐藤トレーナーの教え方】
腹式呼吸で発声を行う際には、腹直筋の下の方を背中のほうに押し込むような状態にして発声してください。

と、それぞれのトレーナーがレッスンで生徒さんに指示を出す方針だったとします。
山田さんのお腹をいきんだ様な状態で発声する方法と、佐藤さんのお腹をへこませて発声する方法は、どちらも声は出ますが、教え方としてはほぼ反対に見えます。

実はお腹をいきんだ形で発声するときには、単音で高い声を発声するときには有効なのですが、息の吸い方が雑になったり発声に対して息が長く続かなかったりするので、場合によっては合理的ではないことがあります。
お腹をへこませる形での発声方法に関しては、早く息を自然に吸い込むことができたり、長く高い音を発声し続けることができたりもするのですが、現実として生徒さんによっては前者の山田さんの方法の方がやりやすいと言う生徒さんもいます。
山田さんと佐藤さんでは、ボイストレーニングの方針の違いはあっても発声技術を高めていくと言う点においては相違がないわけです。

冒頭で述べましたように例えば政治もそうですが、政党が違っていても世の中を良くしていくと言う点に関しては、基本的にほぼ同じところを見ているわけです。
ほぼ同じところを見ていますが、そこに至るまでの方法や手段というのがそれぞれ異なっているわけです。
※必ずしも同じ方向を向いていない団体もいますので、注意が必要です。

ハリウッド式ボイストレーニングも、そうでないボイストレーニングも、発声能力を向上させると言う点においては同じなんです。
ですが、方法論が違います。

ハリウッド式ボイストレーニングによって発声能力が向上する人たちがいることも間違いないと思いますが、日本ボイストレーナー連盟のような発声メソッドを理論で構成するような団体により発声能力が向上する人たちがいることも事実です(手前味噌の話で申し訳ございません)。
その他にもいろいろな団体、会社、組織、個人がボイストレーナーとして存在しています。
それぞれ違うスタンスはあるものの、発声技術の向上に寄与していくと言う点に関しては同じと言えます。

後はその外側にいる生徒さんや、世の中の一般的な方々がどのような違いをボイストレーニング業界に対してよく観察しその業界内の違いをしっかり見極めているか。
それぞれ違いがありますよね。
違いがある位ですから、発声能力の進歩に早い遅いがあったりとか、先生たちの教え方が上手い下手とかがあったりとか、事実としてあると思います。
その中でハリウッド式ボイストレーニングや日本ボイストレーナー連盟、もしくはその他の所と言うものが、どのぐらいのポジションに位置しているのか決めるのは第三者の目線次第と言うことになります。

また、マーケティングと言う別の視点から見てみると、ボイストレーニング業界も基本的には営利目的である業界です。
これはほんとに公平の視点から考えて、「自分たちのところが1番すごい」と言う見せ方はどこでも行って然りです(営利目的なので悪いことでは全くないです)。
ラーメン屋さんも名前を知って貰わないと味だけが良くてもヒットしません。
ボイストレーニング業界も同じなのです。

本当の価値は、中身を皆さんが皆さんの目線で判断するしかないんです。

また何かご質問等ございましたら、いつでもお気軽にご質問ください。