日本ボイストレーナー連盟の鈴木です。
勉強会にて、下記の質問を頂きましたので回答をさせて頂きます。
【質問】ものまね芸人さんはどのように声を変化させているのですか?
先日、ものまねのスペシャル番組がテレビで放送されているのを見て疑問に思いました。
ものまね芸人さんはどのように声を変化させているのですか?
一人で何人ものものまねをするのは、素人からすると神業なのですが、どのようにして変化させているのか、どうすれば変化させられるのか、もしわかればお教え頂けたらと思います。
宜しくお願い致します。
【回答】声帯、喉、共鳴のさせ方がポイント
こんにちは。
日本ボイストレーナー連盟 ボイストレーナーの鈴木と申します。
ご質問ありがとうございます。
早速回答させていただきたいと思います。
おっしゃる通りものまね芸人さんは幾つもの声を使い分けています。
同じ系統の声質の方だけをものまねする方もいれば、全く系統が違う方をランダムにものまねする方もいます。
声の使い分けについては、声帯、喉、共鳴のさせ方がポイントになりますので、どのような状態になっているのかお話していきたいと思います。
ただし、ものまねは本人の特徴を掴むセンスも問われますので、これらができたからと言って簡単にできるようになるものでもありませんのでご了承下さい。
声帯の状態
声帯は輪ゴムのように伸び縮みします。
一般的に女性は短く、男性は長い声帯をしております。(成人男性、成人女性の場合)
輪ゴムを伸ばして弾いた音を聴くのが一番分かり易いと思いますが、あまり伸ばさずに弾くよりも高い音が出ます。
声も同じように、高い声を出す時は声帯が伸びている状態にあります。
そのため、ものまねにおいて高い声の特徴の方を真似る場合、声帯を伸ばして発声するということになります。
高い声(裏声含む)を出す=声帯を伸ばして発声する
ということが言えます。
喉の状態
音の高低に関しては声帯のところで説明が付きますが、声の太さについてはこの喉の状態でコントロールします。
厳密に言うと、喉をどれだけ広げるかと言うことです。
あくびをすると喉がマックスに広がりますが、その喉の開き具合を調整します。
喉を開く程太い声が、喉を狭くする程細い声になっていきます。
真似をする本人の声の高さと声の太さは声帯と喉の開き具合で調整します。
共鳴のさせ方
声は共鳴によって響きが変わってきます。
音は空洞があるところでは響く性質があります。(ドラム、アコースティックギター等)
人間でいうところの
口腔(口の中)
鼻腔(鼻の中の空洞)
咽頭(声帯から喉ちんこの裏辺りまでの空洞)
がそれらにあたります。
基本的に正しく発声しておれば、口腔・鼻腔・咽頭それぞれでバランスよく共鳴が行われます。
ものまねでは、真似る本人に近づける為に、どの共鳴腔での共鳴の割合を多くするかでコントロールします。
例えば、志村けんさんの老人キャラのものまねであれば、鼻腔での共鳴の割合を多くします。(鼻声に近い感じ)
中尾彬さんのものまねであれば、口腔と咽頭での共鳴の割合を多くします。
まとめ
ものまねでどのような声を出す場合でも、基本は腹式呼吸です。
但し、雰囲気を出すためにわざと胸式呼吸になってしまうことは悪いことではありません。
(ボイストレーニング的にはNGですが、表現をするという意味においてはOKです。)
その他、ボイストレーニング的には喉の力みはNGですが、ものまねをする上で必要になる場合もあるかもしれません。
どの発声が正しくて、何がNGなのかをしっかり理解した上で行うためにも、ものまねをする場合は、基本的な発声技術を習得することがとても大切です。
日本ボイストレーナー連盟では、基礎から高い発声技術までレクチャーできるボイストレーナーのご紹介が可能です。是非お気軽にご相談下さいませ。
[school]一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
ボイストレーナー/鈴木 智大