こんにちは。
日本ボイストレーナー連盟 ボイストレーナーの鈴木智大です。
2016年6月24日、大阪にある国土交通省の航空保安大学校というところで、航空管制官の皆様にボイストレーニングの授業を行って参りました。
今回で3回目となります。過去の授業の様子はこちらからご覧ください。
2015年7月3日 航空保安大学校でのボイストレーニング講習
2015年12月15日 航空保安大学校でのボイストレーニング講習
授業の目的
38名の生徒に対して、100分の授業を3コマ行いました。
航空管制官というのは、日本では国家公務員が主に行っていて、
空港にある航空管制塔内で、航空機の異常接近や衝突を防ぐ為に各航空機に交通指示を出して、
安全で円滑な航空機の運航を支える仕事です。
業務で使う言語はすべて英語です。
インカムを使って指示を出しますので、声がこもっていたり息が多すぎたりして、
指示する声が聴こえなければ航空事故になりかねません。
しっかりと明瞭な声で言葉を伝えられるよう、ボイストレーニングの授業を行ってきました。
授業内容について
今回行った授業内容は、「明瞭な声で発声できるようにする」という目的をぶらさずに、
それに必要な授業を行いました。
1限目:座学
2限目:実技
3限目:座学と実技~まとめ~
この3つの流れで行いました。
まず1限目の座学の前に、事前に用意していた原稿を皆さんにお渡しして読んで頂きました。
そして10名程ピックアップさせて頂き、皆さんの前で一人一人読んでいただく。
(ボイストレーニングを理解する前の状態を把握)
その後、発声の基礎である腹式呼吸、共鳴のメカニズムを図や言葉でお伝えし、まずは頭で理解していただく。
しかしボイストレーニングは実践なくしては成立しませんので、2限目には実技を行いました。
実際に腹式呼吸を、一人一人周って見ていき出来ているかどうかチェックしていきました。
続いて共鳴を体感していただくためのハミング。
唇の振動を感じていただくことができたら、その発声のまま言葉に変えていくトレーニング。
用意していた別の原稿を、腹式呼吸と共鳴を理解して頂いた段階で読んでいただく練習。
これも一人一人周ってチェックしていき、ボイストレーニングを施していきました。
最後に、授業の最初にピックアップした10名に再度原稿を読んでいただき、
ボイストレーニング前と後の比較を行いました。
声の出し方、声の通り、明瞭さが明らかに向上したいう結果に至ることができました。
授業をした感想
とても素直に皆さん授業に耳を傾けていただき、途中笑いも起きるなど、終始和やかな雰囲気で行う事ができました。
集団に対するボイストレーニングということで時間の関係もあり、一人一人密に時間をとってレクチャーすることはできませんでした。
しかし、腹式呼吸・共鳴を理解して頂いた上で、原稿を読んでもらうということを一人一人にしていただいたため、皆さんお一人ずつ明確なワンポイントアドバイス、改善点をお伝えしていけたので、今後それに注意して改善して行っていただけることを願っています。
日本の航空の安全に一つ貢献できたと思うと非常に異義のあるボイストレーニング講義だったと思います。
航空保安大学校の皆様、本当にお疲れ様でした。
また次回、機会があれば是非行わせていただけたらと思います。
一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
ボイストレーナー 鈴木智大