いつもお世話になっております。
日本ボイストレーナー連盟代表理事の青木亮です。
去る2015年12月15日に大阪にある、国土交通省、航空保安大学校にて航空管制官研修生の方々にボイストレーニングを執り行わさせて頂きました。
人数は40名、男女比は6:4ぐらいでした。
今回の講義内容は、
●業務で使うヘッドセットなどで、聴き取り易い声を出せる様にする。
●長時間声を使っても疲弊し辛い発声方法を身に付けられる様にする。
大きく分類すると上記2点です。
航空保安大学校からのご依頼を頂き、今回の実施で2回目となります。
>>前回の航空保安大学校でのボイストレーニング講習の様子はこちら
課題1:『大集団のボイストレーニングの乗り越えるべき壁』
前回も考えた事ですが、大人数の研修生(通常は生徒さん)に発声方法を教えて行く場合は、
かなりの高いハードルをボイストレーナーは要求されます。
それは、ボーカリストに対するボイストレーニングでも、
今回の様に喋り・話し方というカテゴリのボイストレーニングでも同様です。
40人はそれぞれ個性があります。
その個性を削いでしまうボイストレーニングを行ってしまっては、
個性を摘んでしまう事になるので良くありません。
個性を生かしてどうやってブラッシュアップして行けば良いのか?
ここを大事に考えて大集団のボイストレーニングを行わなければなりません。
かと言って、差し障りない事ばかり教えて行けば良いという事でも全くありません。
ここをバランス良くクリアーする事が大きな壁だと毎回考えます。
課題2:『一話完結の集団ボイストレーニングで生徒さんはどうやって発声技術を今後向上させて行けば良いか考える』
一話完結型で、一番良くないボイストレーナーの対応手段としては、「とりあえず今日だけでやる事はやったので、後は生徒各自に任せよう」というものです。
それでは生徒さん達は発声能力の向上の仕方が解らないはずです。
ましてや、ボイストレーニングの経験もゼロだとしたら尚更です。
この様な場合はどうしたら良いか。
それは、大人数の場合は飲み込みの早い生徒さんもいますので、その生徒さんを一早く見つける!!という事が大事です。
40人ぐらいだと5-6人は普通は居るので、発声方法を全員に教えつつも飲み込みの良い生徒さんがボイストレーナーが居なくても発声方法をある程度周囲の参加者にレクチャー出来る様にしてあげる。
これってとても大事な事なんです。
技術は以心伝心です。
課題3:『妥協点』
大集団のボイストレーニングを行う場合。
正直言うと、切り上げるタイミングは重要です。
つまり、ベストは尽くしても妥協する部分が必ず出て来ます。
その妥協するレベルを低く設定せずに高いレベルに設定する事がボイストレーナーには課せられていると考えます。
これについてはかなりの精神力を消費するかもしれませんが、
仕事を引き受けた以上はボイストレーナーはプロフェッショナルとして立場を貫かなければなりません。
敢えて妥協点とはしていますが、自分の中では妥協とは考えません。
『ベストを尽くした』とボイストレーナー自身が思える様な講義を大集団のボイストレーニングでは心掛けるべきでしょう。
今日はボイストレーナーが直面する集団ボイストレーニングについての課題点を3つ書き出してみました。
技術に頼るばかりではなく、勇気を持ってトレーニングを執り行うのも大切ですし、生徒さん皆の事を思って対応して行けばきっと良い内容の講義が出来ると考えます。
結びになりますが、航空保安大学校の皆様、本当にお疲れ様でした。
至らない点も多々あったかもしれませんが、またお会い出来る機会がある事を楽しみにしております。
一般社団法人 日本ボイストレーナー連盟
代表理事 青木亮